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ねずみざか
鼠坂
「中央公論」1912(明治45)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,781 字 · 16 页
窓の方へ背中を向けて頭を粟稈に埋めるようにしているが、その背中はぶるぶる慄えていると云うのだね。」
小川は杯を取り上げたり、置いたりして不安らしい様子をしている。平山はますます熱心に聞いている。
主人はわざと間を置いて、二人を等分に見て話し続けた。
「ところがその人間の頭が辮子でない。女なのだ。それが分かった時、小川君はそれまで交っていた危険と云う念が全く無くなって、好奇心が純粋の好奇心になったそうだ。これはさもありそうな事だね。と声に力を入れて呼んで見たが、ただ慄えているばかりだ。小川君は※(「火+亢」、第4水準2-79-62)の上へ飛び上がった。女の肩に手を掛けて、引き起して、窓の方へ向けて見ると、まだ二十にならない位な、すばらしい別品だったと云うのだ。」
主人はまた間を置いて二人を見較べた。そしてゆっくり酒を一杯飲んだ。「これから先は端折って話すよ。これまでのような珍らしい話とは違って、いつ誰がどこで遣っても同じ事だからね。一体支那人はいざとなると、覚悟が好い。首を斬られる時なぞも、尋常に斬られる。女は尋常に服従したそうだ。無論小川君の好嫖致な所も、女の諦念を容易ならしめたには相違ないさ。