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あそび
あそび
「三田文學」1910(明治43)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,358 字 · 21 页
」小川は省内での饒舌家で、木村はいつもうるさく思っているが、そんな素振はしないように努めている。先方は持病の起ったように、調子附いて来た。「しかし、君、ルウズウェルトの方々で遣っている演説を読んでいるだろうね。あの先生が口で言っているように行けば、政治も一時だけの物ではない。一国ばかりの物ではない。あれを一層高尚にすれば、政治が大芸術になるねえ。君なんぞの理想と一致するだろうと思うが、どうかねえ。」
木村は馬鹿々々しいと思って、一寸顔を蹙めたくなったのをこらえている。
そのうち停留場に来た。場末の常で、朝出て晩に帰れば、丁度満員の車にばかり乗るようになるのである。二人は赤い柱の下に、傘を並べて立っていて、車を二台も遣り過して、やっとの事で乗った。
二人共弔皮にぶら下がった。小川はまだしゃべり足りないらしい。
「君。僕の芸術観はどうだね。」
「僕はそんな事は考えない。」不精々々に木村が答えた。
「どう思って遣っているのだね。」
「どうも思わない。作りたいとき作る。まあ、食いたいとき食うようなものだろう。」
「本能かね。」
「本能じゃあない。」
「なぜ。」
「意識して遣っている。