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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页

青空文庫

八

」

「………」

「それじゃ、そのしろ公もいっしょにつれていきな。林太郎にはしろ公という弟ができたんだもの、もうさびしかないだろう。」

「………」

林太郎はしろ公をだきながら、指のつめをかんでいるばかりです。おっかさんは大きなため息をついて、

「困ったなあ。」

と、また、うつむいてしまいました。

林太郎は、うわ目でおっかさんのようすをしげしげと見ていましたが、なにか決心したように、

「そんじゃ、あしたきっと、おっかさんもかえってくる?」

「あした……」

と、おっかさんはちょっといいつまったが、

「そう、あした、かえるよ。」

と、小さなこえでいいました。

林太郎はそれがまた気になりましたが、とうとう、

「じゃ、おれきょうかえるよ。」

と、答えました。

八

林太郎は、しろ公をつれ、作男の友さんに船をおしてもらって自分のうちへかえりました。そしてその夜は、しろ公の寝床を土間のすみへわらでつくってやって、自分はおじいさんといっしょにねました。

つぎの朝はいつもより早く起きだして、しろ公をつれて家の裏の丘の上へのぼり、入江の方を見ていました。が、おっかさんはかえってきませんでした。林太郎は日がくれるまで、何度となくその丘へきてみましたが、やっぱりだめでした。