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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页

青空文庫

九

」と林太郎を胸の中へだきこみました。

つぎの日おじいさんは、「さっぱ船」にのって、「むこうの家」へでかけていきました。そして夕方、暗くなってからやっぱりひとりでかえってきて、

「おっかさんはからだが少し悪いでな、なおったらすぐかえるといってたよ。」

と、いいました。

だが、それから半月たってもひと月たってもおっかさんの方からはなんの音さたもありませんでした。

九

そのうちに夏休みがきました。しろ公は、つれてきたときより三倍も大きくなり、夜はよく家の番をし、昼間は林太郎のいうことをよく聞いて、いっしょにふざけながら遊んでもおしっこをもらしたり、手や足をひどくかむようなことはしなくなりました。

それに、しろ公はひじょうにりこうで、林太郎が夕方などさびしそうにしていたりすると、ぴったりと林太郎のそばにすりついて、はなれませんでした。それはまったく林太郎のきょうだいのようでした。

それで林太郎もいつか、このしろ公といっしょなら、ひとりではできないこともできるような気がしてきました。そして林太郎は、ある日、ひとりではできないことを、しろ公といっしょにりっぱにしてしまいました。