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あたまでっかち
あたまでっかち
下村 千秋
「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页
「なあ、しろ公、おっかさんは、どこにいるんだよ?」
「なあ、しろ公、たのむからおまえが探してきてくれよ。」
「しろ公、おらなんだか気が遠くなってきたよ。」
「しろ公、夢みたいだなあ。」
そういっていたかと思うと、林太郎は草の上にふらりとすわってしまいました。そこは湖の岸で、すぐ下は水です。林太郎はそこにすわったまましばらくはふらふらしていましたが、やがてずるずるとすべって、もう少しで水の中へすべりこむところを、そこに一カ所ちょっとしたくぼみがあり、林太郎のからだはその中へぐあいよくすぽりとはまりました。
林太郎はそこで、虫のようにまるくなって眠ってしまったのです。かわいそうに林太郎は、おっかさんのお里を出てから、水一てき飲まずに五里ちかくの道を歩きつづけ、この町へきてもなにひとつたべずに、あっちこっちの病院をたずね回ったので、もうからだも頭もへとへとに疲れてこんなところにゆきだおれてしまったのです。
しろ公も林太郎とおなじように飲まず食わずですから、もう少しでへたばりそうになっていました。が、林太郎がそんなにたおれてしまったのをみると、これは兄貴の一大事とわかったらしく、しっかりと両耳をたてて、林太郎のそばにきちんとすわっていました。