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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页

青空文庫

一三

主人のためには命をすてて主人の危険を救う犬がよくありますが、しろ公もまたそういう忠実な犬にちがいありません。といってしろ公は、そこにゆきだおれてしまった林太郎をどうして救うのでしょうか。

一三

こちらは林太郎のおとっつあんです。おとっつあんはその日がくれても林太郎の姿が見えないので、これはてっきりおっかさんのお里へいったにちがいないと思い、さっぱ船にのってお里へいってみました。と、林太郎はおひるすぎにきはきたが、すぐ家へかえっていったとおばあさんのはなしです。

「それじゃ、どこへいったろう?」

「ひょっとしたら、おっかさんに会いたい一心で、土浦までいったかもしれないぞ。」

「でも、あんな子どもがひとりでいけるだろうか。」

「いやいやいったかもしれぬ。そういえばきょうの林太郎はいつもと違って、くちびるをくいしばってなにか決心したような顔で、このうちを出ていったからな。」

「しろ公もいっしょだったか。」

「ああ、いっしょだった。」

「そんならやっぱりいったかもしれねえ。よし、じゃこれから迎いにいってくる。」

「ああすぐいっておくれ。それからひとつ頼みがあるが。」

と、おばあさんは目をしょぼしょぼさしていいます。