轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いさましいはなし

いさましい話

山本 周五郎

「講談雑誌増刊号」博文館、1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,835 字 · 73 页

青空文庫

「馬鹿囃しとは呆れたもんだな」

下僚たちは役所でよくこう云いあった。事務を執りながら、上席に玄一郎のいるのを知って、聞えよがしに話すのである。

「いっぱし洒落たつもりなんだろう」

「洒脱を衒っているのさ、田舎者だと思ってばかにしてね、それで自分が恥をかいているとは気がつかない」

「そこが馬鹿囃しの馬鹿囃したるところだろう」

べつの者たちはしきりにいきまいた。

「われわれはいい嗤い者になっているぞ」

「勘定役所の者というとみんなが嘲弄するんだ、しかし返答のしようがないじゃないか」

「たいへんな上役を貰ったものさ」

玄一郎はむろんとりあわなかった、聞えないふりもしないが、聞えていて自分とは関係のないことのように、泰然と知らぬ顔をし、眉を動かさずにいた。

萩原くめはその後いちど花を替えに来、少しおいて自宅で茶をするからと、招きの使いをよこした。

初めて蝋梅を活けに来たとき、玄一郎はほぼその意味を察していた。それから花を替えに来たうえ自宅への招待で推察の誤りでないことが確実のように思えた。

松尾が手を拍って褒めながら、眼に怒りをあらわしていたとき、くめだけはみんなの喝采には加わらず、ひとり脇を向いて黙っていた。