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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
「探偵趣味」「猟奇」1927(昭和2)年7月~1930(昭和5)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,535 字 · 78 页
子守女たちに聞こえぬようにささやいた。
「……ナ……ナ……そうしてナ……もしそれを、それだけ出さんと吐かしおったら構う事アない。あの座敷にお獅子様を担ぎ込むんよ。例の魚血を手足に塗りこくって暴れ込むんよ……久し振りにナ……」
「……ウム……ナルホド……ウーム……」
「……ナ……高が守ッ子の云う事を聞いて、云いがかりをつけるよりも、その方が洒落とらせんかい」
「ウン。ヨシッ。ワカッタッ。みんなであの座敷をブチ毀してくれよう」
「シイッ。聞こえるでないか……外へ……」
「ウン。……第一あの嬶あ面が俺ア気に喰わん。鼻ッペシを天つう向けやがって……」
「アハハハハ。あんなヒョロッコイ嬶が何じゃい。俺に抱かして見ろ。一ト晩でヘシ折って見せるがナ」
「イヨーッ豪いゾッ。トッツァン。そこで一杯行こうぜ……アハハハハハハ」
「ワハハハハハ」
そんな事でその時は済んだが、サテそのあくる日の正午近い頃であった。
七ツと六ツぐらいの村の子供が二人連れで、素裸のまま、浜へテングサを拾いに来ていたが、いい加減に拾って帰りがけに、炎天の下の焼け砂の上を、開け放された別荘の裏木戸の前まで来ると、キョロキョロと中をのぞきながら、赤煉瓦塀の中へ這入り込んだ……、家中の者がモーターボートで島巡りに出て行くところを今朝から見ていたので……そうして縁側の小松の