轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
そこでりつ子はくっくと笑った、「――からかわれてると思うのね、だから夏になると、なおさらよ、その鳥の鳴くあいだじゅう、いつも怒ってばかりいたわ」
ぴっぴではねえと、松山隆二は微笑し、ゆっくりと頭を横に振った。小鳥の鳴き声でさえ、ときにはひとりの人間の、怒りをかきたてることができたのだ。きよきよちゃんたらぴっぴか、彼はもういちど頭を振り、そっと微笑した。
――そうだ、ブラウン運動に似ているな。
斜面を登ってゆきながら、松山隆二は考えた。
――ヨブなどをもちだすことはない、水中へ花粉を落すと、水を構成する分子に突き当り、花粉の粒子は不規則な運動を休みなしに続けるという、植物学者ブラウンの発見した現象のほうが、人間社会のありかたを、さらによく暗示しているじゃないか。
善と悪、是と非、愛と憎しみ、寛容と褊狭など、人間相互の性格や気質の違いが、ぶっつかり合って突きとばしたり、押し戻してまた突き当ったり、休みなしに動いている。こういう現実の休みない動きが、人間を成長させるのだ。水を構成する分子の抵抗があるからこそ、花粉の粒子の運動があるように、無数の抵抗があるからこそ人間も休まずに成長し、社会も進化してゆくのだ。