轻松读懂日语经典作品
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
藁小屋をみつけたときは、もう黄昏が濃くなり、あたりは紫色の靄が漂っていた。――夕ごはんを作るわと云って、りつ子は川のほうへ出ていった。りつ子は巧みにやった、拳二つほどの大きさの石を三つ並べ、包みの中から平たい鉄の鍋を出して掛け、火を燃しつけてから、もろこしの粉を練り、鍋を油でぬぐってから、もろこしをゆっくりと鍋焼きにした。三つの石は即席の釜戸だったのである。りつ子は朴の木の葉も洗って持って来て、その上へもろこし餅をのせて彼に渡した。
「がまんしてね」と少女は云った、「おしたじがないから塩にしたの、まずいかもしれないけれどしようがないわ」
「有難う」と彼はちょっと頭をさげた、「いまは口にはいるものなら、なんでもいいよ、でも小さいのによくなんでも知ってるね」
「貧乏のおかげよ」
りつ子は米を出して、また川のほうへ出ていった。彼女はそれからめしを炊き、塩むすびを作って喰べた。
「さっきの魚を捕って来ればよかったわね」とりつ子は云った、「おかずなしじゃあつまんないわ」
「魚もだんだんいなくなるんだよ、お百姓が農薬を使うからだそうだ」
「なぜそんな薬を使うの」
「米や野菜をたくさん作りたいためだろうね」