轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おさん
おさん
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1961(昭和36)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,128 字 · 66 页
おさんのからだにあらわれる異常な陶酔や、激しい呼吸や叫び声などが、そこにあるもののようにはっきりと感じられる。それをこの作次も味わったのだ、作次のその手や肌が、おさんの肌を愛撫し抱き緊め、思うままにしたのである。そう考えながら、参太の気持には憎しみも嫉妬も起こらなかった。おさんも哀れであり作次も哀れだった。ことに作次は男同志だから、深く傷ついた心の耐えがたい苦痛、というものがよくわかり、できるなら手を握って慰めてやりたいという衝動さえ感じた。
「いつ、どうしてそんなことになったのか、おらあ知らなかった」作次は話し続けていた、「或る日おれが帰ってみると、おさんはいなかった、百日足らずのくらしで、着物も二三枚、帯も二本作ってあった、もちろんほかにもこまごました物があるのに、みんなそのままで、なに一つ持ち出してはいない、だがおれには、おさんが家出をしたなとすぐにわかった、仕事が板前だから、帰りのおそくなるのはふつうだが、その日は宵の八時まえだった、まっ暗な家の中へはいって、行燈に火を入れたとき、きちんと片づいた、人けのない部屋を見まわしたとたんに、ああ出ていったな、とおれは思った」