轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おみな
おみな
「作品 第六巻第十二号」1935(昭和10)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,437 字 · 11 页
私は七ツ八ツから庭の片隅の物陰へひとりひそんで、見も知らぬふるさと長崎の夢を見るのが愉しかった。
私の子供の頃の新潟の海では、二尋ばかりの深さの沖へ泳ぎでて水へくぐると、砂の上に大きな蛤の並んでいるのを拾うことが出来たものだ。私は泳ぎがうまく、蛤や浅蜊を拾う名手であった。十二、三の頃の話だ。夏も終りに近い荒天の日で、町にいても海鳴りのなり続く暗澹たる黄昏時のことであったが、突然母が私を呼んで、貝が食べたいから海へ行ってとって来てくれと命じた、或いはからかったのだ。からかい半分の気味が癪で、そんならいっそほんとに貝をとって来て顔の前に投げつけてやろうと私は憤って海へ行った。暗い荒れた海、人のいない単調な浜、降りだしそうな低い空や暮れかかる薄明の中にふと気がついて、お天気のいい白昼の海ですら時々妖怪じみた恐怖を覚える臆病者の私は、一時はたしかに悲しかったが、やがて激しい憤りから殆んど恐怖も知らなかった。浪にまかれてあえぎながら、必死に貝を探すことが恰も復讐するように愉しかったよ。とっぷり夜が落ちてから漸く家に戻ってきて、重い貝の包みを無言でズシリと三和土の上に投げだしたのを覚えている。