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かたいおおきなて

かたい大きな手

小川 未明

「銀河」1948(昭和23)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页

青空文庫

途中、近所の人々が、そのうしろすがたを見送っていました。いなかからの、お客さんだろうと思って、見るにちがいないと、勇吉はなんとなく気はずかしかったのでした。

道の両がわに、家が建っていました。それらの中には、店屋がまじっていました。そして、ところどころあるあき地は畑となって、麦や、ねぎが、青々としげっていました。おじいさんは、立ちどまって、それを見ながら、なにか感心したように口の中で、ひとりごとをしていました。それから、すこし歩くと、また立ちどまって、たもとをいじっていました。勇吉には、あまり、そのようすが、おかしかったので、

「どうしたの、なにか落としたんですか。」と、そばへいって聞きました。

「湯銭をなくすと、たいへんだからな。」と、おじいさんは、いいました。

「なあんだ、そんなことなの。」

勇吉は、口まで出たことばをのみこんで、やはり、おじいさんは、いなかものだな、と思いました。

「おじいさん、お金を落としたって、入れてくれるよ。」

「なんで、湯銭なしに、はいれるものか。」

おじいさんは、まじめになって、いいました。

「わけをいえば、かしてくれるだろう。