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がん
がん
小川 未明
「民政」1934(昭和9)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,900 字 · 6 页
」と、中でも、もっとも野生を有していた、Kがんが、さっそくこの説に賛成しました。
「幾百里か、飛んでいって、それが無いといって帰ってくることができるだろうか?」と、Bがんが、むしろ、反対の意見をもらしました。
「そのことだ。ただ、この頼りない希望のために、この安全なすみかを捨ててゆくということが考えものなのだ。おそらく、もう二度ともどってくることはできなかろう。」と、りこうそうながんが、考え深い顔つきをしてBのいったことに答えました。
「人間の与えた安全が、なんでいつまで頼りになろう。いまから、私たちは、それを探しに出ても遅くはないのだ。」と、Kがんがいいました。
しかし、こうした話が持ち上がると、自由を慕う本能が、みんなの心の中に目覚めたのでした。
「ゆこう、ゆこう、ここで、こうして意気地なく、この冬を送るよりか、翼の力のつづくかぎり、広い、自由な、そして、安全な世界を探しに出かけようじゃないか。」と、ついにみんなの意見が、一致しました。
「おじいさん、どうぞ道案内を頼みます。」と、彼らはいいました。
このときまで黙って、月を見上げていた、年とったがんは、