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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

これだから新聞の三面に女の問題が絶えないんだね。こんなところまで参詣に寄越す亭主野郎の気が知れないよ。大方実業家か何かだろう」

とお父さんも悪口を言った。この三人は観音さまへお詣りに来たのでなく、苦情を言いに来たのらしい。

住職はこんなに評判が悪いとも知らず、長い御祈祷を弥が上にも長くしてから、

「旦那方、何うもお待たせ申しました」

と一揖し、

「昔、この辺に蛇身鳥刃の雉という怪物が出没いたしました。何がさて蛇体に刃の羽を生やした怪鳥でございますから……」

と頼政の鵺退治を焼き直したような物語を始め、それが無間の鐘から夜泣石へと移って行った。

「あの坊主は実に無学だね」

と寺を出て旧道を辿りながらお父さんが呟いた。

「無学さ、何うせ坊主だもの」

と下り坂だから団さんも元気が好い。

「山賊や猟師の娘に月小夜だの小石姫だのがあって溜るもんか。月小夜姫は菊川で殺された俊基朝臣の娘さ。蛇身鳥だってあの坊主のは間違っている。猟師の女房じゃなくてやはり俊基朝臣の怨霊さ」

「詰まらないことを知っているね」

「月小夜姫はおとましく綺麗な女子だったとあのお坊さんが申しましたね。