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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
君も希臘にいたら食われたろうね」
と三輪さんが笑った。
「スフィンクスなら僕だって彫刻の方で知っているよ。流石にスフィンクスだ。足の多いほど弱いというところが穿っている」
と団さんはまだ感心している。
「稀に分ると大得意だね。アメリカ人の悪口に、地獄から時々陽気な声が聞えるから問い合せて見たら英国人の笑い声だったというのがある。英国人はこの世で聞いた洒落があの世へいって漸く分るんだってね。君のは兎に角今生で分るから豪いよ」
とお父さんも冷かした。
「朝を赤ん坊に譬えたところが面白い。君、スフィンクスは世界の七不思議だろう?」
と団さんはスフィンクスが馬鹿に気に入ってしまった。
「七不思議はピラミッドさ」
とお父さんが言うと、
「七不思議で思い出しましたが、この遠州にも七不思議がありますよ」
と村田さんが案内の役目を思い出して、
「昨日御覧になった夜泣石もその一つです」
「それは是非承って置きたいもんですね」
とお父さんは忽ち乗り出した。
「夜泣石に佐倉の池に遠州灘の浪の音に……片葉の蘆と天狗の火と……」
と村田さんは行き詰まってしまい、
「おい/\、お上さんを一寸呼んで来てお呉れ」