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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
とお父さんも笑い出した。そうして、
「面白い。実際面白いですな。関ですね、舞台は? 喧嘩は道中亀山噺の亀山で、説諭は関の小万のあの関ですね?」
と場面を能く記憶に留めて置いて他日鬼瓦に当って見る積りらしかった。
「然うです。地蔵さんのある関です。『関の地蔵に振袖着せて奈良の大仏婿に取る』という歌がありますよ。浅草の観音様同様小さいので評判の地蔵様のあるところです」
「こゝは何んなところでしょう? 下りて見る価値がありましょうかね?」
と団さんは津に着いた時訊いた。「つ」と唯一字停車場に書いてある。凝っと見ていると余り簡単で何だか馬鹿にされたような気がする。縦も横もないから団さんも自然内容の価値を疑ったのだろう。
「さあ、その折泊りましたが、一向覚えがありませんな。何でも馬鹿にひょろ長い町でしたよ。津の宿は七十五町といって名前の割に長いとかと詰まらないことを自慢にしていましたよ」
と老人は余り好い推薦をしなかった。
「津う、津うって、唾でもするようで駅夫も呼び悪そうね」
と田鶴子さんも言った。
「損な名前ですな。一寸した公園がある丈けで他には何も見るものがないそうですよ」