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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

斯うして顔丈け見ていると然う老人でもないようだね」

とお父さんは今度は顔ばかり眺めた。

「馬鹿を言っちゃいけない。君達とおっつかっつだ。君達だって相応に老けているぜ」

「変ったね、実際、君は。青年で別れて再び顔を合わせると頭の毛がなくなっているんだもの」

と三輪さんも主人公の頭顱を久濶の叙述に利用した。

「何も不思議はないよ。同窓の中にこの十七年間に死んだ奴さえ可なりあるじゃないか。頭の毛ぐらい無くなるさ」

と南さんは毛髪に超越して、

「しかし忍びで入り込んで来た君をまんまと裸体にしたのは聊かお手際だろう?」

と得意がった。

「僕も必定君のお父さんと思ったものだから、今更厭とも言えず診察を受けたのさ。親子は斯うも似るものかと感心していたが、似ている筈さ、当人だもの」

「家まで来て主人公を見違えるところは何うしても、三輪式だね」

「往来で会えば却って分るよ。帽子を被っているだろうからね」

「兎に角今日は痛快だった」

「しかし健康体は誤診だよ」

「否、神経衰弱は仮病だよ」

「しかし匿れていた僕まで知っていたところを見るとこれには確かに有力な内通者があるんだね」

とお父さんは疑い出した。