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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「実は君達が奇襲を謀んでいるという密告が或筋から来た。それで手ぐすねひいて待っていたところさ」

「誰だろう?」

「それは天機洩らすべからずさ」

「団君か知ら?」

「そんな人は知らないよ」

それから談話は一別以来のことに移って果しなく弾んだが、追々出発の時刻が迫るので、僕達はお暇をしなければならなかった。南さんは大変残念がって、

「君達は幾歳になっても子供だから困るよ。こんなくだらない狂言を書かずに前もって知らせてくれゝば案内のしようもあったのに」

と恨んだ。

「実は昨日の昼過に来る積りでホテルから電話をかけたんだが、京都へ往診に出て帰宅は晩いというもんだから、ついこう出発間際になったのさ」

とお父さんは弁解した。

「京都へ都踊りを見に行ったのさ。尤も京都や大阪へは何の用で行っても病家へは往診と触れ込む。繁栄策さ」

「流行るかい?」

「流行らない。門前雀羅さ。爆弾を置いても危険はないよ」

「おや、聞いていたのかい?」

「聞いていたとも。襖の蔭でね」

「悉皆失策ってしまったね。木乃伊が木乃伊取になるという奴さ」

と三輪さんが言うと、南さんは、

「木乃伊取が木乃伊になるんだよ。