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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
君は彼の時僕の書斎に掛けてあった大きな建物の写真を見たろう?」
「見たとも。あの上海の何とかいう独逸商館のことだろう?」
「感心に記憶力だけはあるね。しかしあれは上海でも独逸商館でもない。丸ノ内ノ海上ビルデングだぜ。海上ビルデングと左から右へ書いてあるのを君は逆にグンデルビ上海と読んで、『上海には海上ビルデングに能く似た建物があるね。独逸商館か知ら?』と言ったじゃないか?」
「成程、それは大失敗だったね。しかし考え違いということは誰にでもある。詰まらないことを何時までも根に持っている男だな」
「根に持つ次第でも先刻のアイ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ンホーの仇討でもないが、証明して呉れと頼むから実例に利用したばかりさ。左から読むものを右から読んで一年も平気でいるようでは西へ行く積りで東へ行く汽車に乗るよ。上海のグンデルビと一億万円に日本中を引っ張り廻されるんじゃ何んなに丈夫な生命でも別状なしでは済むまいと言うのさ。ハッハヽヽヽヽヽ」
と団さんは哄笑一番痛快を極めた。
「それじゃ一つ団君に引き廻して貰おうじゃないか? ねえ、三輪君」
「それが宜い。団君、僕等がお供をしよう」