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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「あるとも、僕の同輩は最早大抵一級になっている」

と団さんが答えた。

「ところが高等学校には一高から八高またこの頃できた模倣のを通じて一級俸は一人もいない。俸級表にはあるけれど事実は絶無だよ」

「酷いね、それは! 羊頭狗肉だね」

「死んで一級になった人が神武天皇以来たった一人あるばかりさ。事実三級が特別の異例で四級が行き止りだ」

「一級俸は正一位だね。生きている中には貰えない」

と三輪さんが言った。

「見せる丈けでくれない。福引の箪笥か?」

とお父さんが言った。

「福引の箪笥はくれるぜ。去年の暮に僕のところの女中が引いてきた。して見ると高等学校の教員は丹波の篠山出身の女中よりも馬鹿にされているんだね」

と柴さんは憤慨した。

「君は今何級だい?」

と団さんが訊いた。

「この間漸く五級になったと思ったら、見給え、この通り白髪がポツ/\生えて来た」

と柴さんは頭を指さして、

「僕は念のために専門学校の方を調べて見たが一級俸は矢張り絶無だ。尤も校長はペテン省の棒先丈けに何処でも無為にして一級俸を貪っている」

「ナカ/\辛辣だね」

「それから中学小学の教員にも機会の許す限り会って実状を探ったが、この連中は妙に諦めが好い。