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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
「夫人丈けは模擬夫人じゃない。最愛の細君だぜ」
と星野さんが註を入れた。
「星野君には始終笑われるが、実際模擬生活だよ。東京へ帰ろう/\と思っているもんだから、世帯道具にしても永久的のものは買う気にならないからね」
と柴さんは支那まがいの大きな瀬戸火鉢を撫ぜながら言った。
「それも確かに然うだろうね。朝鮮や台湾へ行っている友達も始終そんなことを言って来るよ」
とお父さんが同情した。いくら東京贔負でも京都を植民地と一緒にするのは酷い。
「不平は人一倍言う上にそんな腰掛主義でいられたんじゃ学校で困るだろうね?」
と団さんは学校に同情した。
「腰掛主義よりも齧りつき主義の方が困るようだよ。しかし不思議なもんだね。こんな模擬家庭でこんな模擬生活をしていても子供がもう四人出来たぜ。これ丈けは模擬じゃない。真物の証拠に一番小さいのが一昨日から病気になって模擬看護婦に来て貰っている」
「冗談は兎に角経過は真正に好いのかい?」
と星野さんが尋ねた。
「有難う。危険はないらしい。少し慌て過ぎたんだね」
「子供が四人は羨しいなあ。動物園の獅子さえ子を生むそうだから僕のところも京都へ越して来ようか知ら」