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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「獣じゃなかばんた」

とお芳さんが苦情を言った。

「まあ/\待ってお呉れ。これから大いに鍋島男子を褒めるから宜いだろう?」

「いうなかばんた。佐賀の人の通った跡は草も生えんとでしょう?」

「呆気でも佐賀のもん、腐っても鯛の魚でござッす」

とお峯さんが加勢に入った。

「呆気は馬鹿だね。英語の方に余計似ている」

とお父さんが言った。

「女も佐賀はお芳さんのような別嬪が多いんだろうね」

と団さんが油をかけると、

「佐賀の女はマルボーロのごた味がするばんた」

「マルボーロとは?」

お芳さんは菓子器を指さして、

「おいしゅうございましたろうがな」

「圧迫的だね」

「佐賀の女はマルボーロのごたッばんた。情が深うして何時までも飽かんとです」

「恐れ入った」

と確信家の団さんも、この女中の確信には敬服した。

第一番に御飯を済ませた田鶴子さんは縁側の籐椅子にかけて、

「あら凧が揚っていてよ」

と言った。

「夏凧を揚げるのは佐賀ばかりでござッす」

とお峯さんが説明した。何でも他に類がない。

「佐賀言葉を教えて上げましょうか? にゃごとこくきゃ、こんちくしょう、あらいやばん、こなたのそくしゃあか、ぞうだんしんさんな」