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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

と三輪さんが驚いた。

「然うさ。稀には何か買ってやらないと喧嘩の時に口が利けないからね」

「僕も喧嘩の時の用心に買って行くかな」

とお父さんも漁り始め、

「僕のところだって平和時代ばかりはない」

と三輪さんも田鶴子さんを顧問として夫れ/″\買物をした。

「未だ洗粉と針が此処の名産だから、戦闘準備の為めに些っと仕入れて行くと宜いよ」

と渡辺さんは笑っていた。

間もなく丸山へ出た。大廈高楼が両側に立ち並んでいた。商品が人間だそうだからナカ/\以て牛肉屋や鰻屋の比でない。

「此処も素通りかね?」

と団さんが言うと、

「こんな宜しくないところで手間を取っちゃ大変だよ」

と渡辺さんは急いだ。

大徳寺で一休みした。稍※(二の字点、1-2-22)高台だから見晴らしが好い。

「頻りにばってんをやっているね」

とお父さんは隣りの卓子で氷を飲んでいる連中に耳を傾けた。

「長崎ばってん江戸べらぼうか。ばってんは英語の but and の詰まったものだというが、巧い抉じつけじゃないか?」

と渡辺さんが言った。

「面白いね。外国の影響の強いところだから、事実その通りかも知れないよ」

と三輪さんは大抵の説は受け容れる。