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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
あなたは警視庁を止めて泥棒になった方が早うごすぜ』と忠告したので、皆大笑いさ。要するに井口君は泥棒の方で入ろうとしたら迚も防げるものでないということを実地に就いて説明してくれたんだね」
「それはあの男のやりそうなことだけれど、職掌上怪しからんな。徒に泥棒のために気焔を吐いたようなもんじゃないか?」
「然うじゃないよ。却って警視庁の為めに気焔を吐いたのさ」
「しかし戸締りは全然無効だという結論になるじゃないか?」
「否、然うじゃない。戸締りは火の用心同様警視庁でも始終宣伝している。いくら旋毛曲りの井口君でもそれに反対はないさ。しかしあの男は犯罪を専門に研究しているんだから、頭脳の中に石川五右衛門以来の知識が醗酵している。彼奴ぐらい巧者な泥棒はまず絶無の筈だ。そのオーソリチーが白昼公然入って見せるぞと断って入るのだから仕事は至って楽さ。ところが真暗闇の晩に無断で見つからないようにという条件をつけられたら鑑識課長だって手も足も出やしない。自分でも然う言っていたよ。そうして、『泥棒の仕難くなる条件は戸締り以外に沢山あるのですから、厳重にして戴くのは至極結構ですが、余り神経を起す必要はありませんな。