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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

研究して見ると泥棒ぐらい愚な商売はありません。一ヵ月の稼ぎ高が平均十八円五十銭です。僅かこれだけの収入を得るために多大の危険を冒すのですから、損益さえ分らない低能児ばかりです。決して恐れるに及びません。家屋相応な戸締りを施して余他は悉く私達警察官に信頼することですな』と大臣に説法したぜ。何んな場合にでも警察力の宣伝を忘れないのには感心した。面白い男さ」

と団さんは語り終って、

「時に今日は三輪君は来ないかね?」

と第二の問題に移る予定と見えた。

「今呼びにやるよ」

と答えて、お父さんは僕を顧みた。言葉を待たずに僕は立ち上った。斯ういう風でなければ秘書役は勤まらない。

三輪さんの家はつい目と鼻の間だ。物の五分とはかゝらない。僕が玄関の呼鈴を鳴らすと、女中ではなくて、奥さんが出て来て格子戸を明けて呉れた。

「お使いですか? 御苦労さまですね。今床屋へ行っていますから、帰り次第上らせましょう」

と毎度だから僕の顔さえ見れば御主人を無心に来たものと認めてしまう。これでは途中で言い方を考えるにも及ばなかったと思った。そこでその儘一つお辞儀をして引返す積りだったが、奥さんは僕を呼び入れて、