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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
さて、余談は措いてお父さんの無職業の件だが、僕は土屋君が葬具商を持て余した以上にお父さんの徒食に肩身の狭い思いをした。全くの商売なしでは陸軍へも海軍へも持ち込みようがない。労働が神聖なら不労働は不神聖に定っている。何かやってくれると宜いのだが、真正に困ってしまう。お母さんもこの点は僕と同感と見えて、
「三輪さんがあんなに仰有ってお勧め下さるのですから、その学校へ御勤務になったら如何です? 謙一もダン/\成人しますから、親の毎日のらくらしているところを見せるのも何んなものかと存じます」
とつい先達而も稍※(二の字点、1-2-22)強硬に説いていたが、お父さんは例の調子で、
「今に何かやるよ。屹度やる。まあ/\然う急き立てないでお呉れ――食うに困るという次第でもないんだからね」
と気休めを言っただけで矢張りその儘になってしまったらしい。
お父さんに定職を望むのは僕よりもお母さんの方が急だ。殊に此年に入ってからはお母さんの急っ付き方が頻繁になった。絶えず機会を覗っているらしい。次のような問答は僕の度々洩れ聞くところだ。
「あなたは最早四十じゃございませんか?」