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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

と車屋は仲間のものに相談をかけた。しかし川越の子孫共は、乞食小屋のような溜りに坐ったまゝ、

「この通り出払っているだで、何にしても好い体格だでな」

と団さんの体格を褒めるばかりだった。実際俥は三台しかなかった。尤も悉皆揃っていても十台とありそうな町ではない。

「そんなに道が悪いのかね。それなら歩いて行くから誰か一つ夜泣石まで案内をして呉れまいか?」

とお父さんが言った。

間もなく僕達は車屋の後に跟いて山路に差しかゝった。田鶴子さんと僕は斯ういう真正の山登りが珍しくて一向苦にならなかったが、大人連中は動もすると不平を言った。

「酷いところだね。成程、これじゃ俥は通れない」

と三輪さんが喘いだ。

「否、俥ん通る道は彼方にあるだが、これが近路だで」

と車屋が言った。

「小夜の中山というからには彼方も山に相違ない。この次に予定を拵える時には山という字のつくところは一切抜きにしてやる。毎日こうじゃ生命が続かない」

と団さんは汗を拭いていた。

「何という山だね? これは」

とお父さんが訊いた時、僕達は頂上の平坦な大道へ出た。

「城山といいます。馬場美濃守さんのお城んあったとこで、これが石垣の跡です。