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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
ところが、この蛙は社会制度をもつことができない。同じ力をもったたくさんの蛙が寄り集まって、夜通しがやがや騒いでいるばかりである。
もし人間がみな平等な能力を持っていたら、こんな都合のいい社会ができたろうか? 全人類が一様に総理大臣級だったら? 全人類が一様にお人好しだったら? どちらにしても、寄ってはがやがや言うばかりで何もしないだろう。人間の生まれつきの能力が平等でないからこそ、社会制度がうまくゆくのではあるまいか?
人類社会全体がうまくゆくためには、各人の生まれつきがそれぞれ違うほうがなるほど都合がよいかもしれないが、生まれつき頭の悪い人、体の弱い人、貧しい家に生まれた人は損ではないか? 神が、もし一人一人を愛して創られたものとするならば、各人に対する神の愛に大きいのと小さいのとあったのか? 神の愛に不公平があるのではないか?
天才は楽々と大発明をして世の人からかっさいを受けるが、鈍才はいくら勉強しても上級学校に入学すらできない。
頭がよく、体が強くても、家がその日の暮らしにも困っているようでは、その才をのばすことができず、山の中で朽ちてしまわねばならぬ。