轻松读懂日语经典作品
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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
第一それからして虚偽ではないか? 一つのうそをつく人が、それ以外はみな事実だということが言えようか? そうしておいて、ぼくには、うそをつくな、ごまかすなと、しつこく言いきかす。
所長さんなら所長さんでいいじゃないか? 奥さんなら奥さんで構わぬのじゃないか? ――所長さんではかわいがることができないのか? 奥さんでは慰めることができないのか? ――お芝居はやめてちょうだい!
真実!
これこそ孤児が求めているもの。これこそまず第一に孤児に与うべきもの。
家も着物も白いご飯もチョコレートも第二だ。
居心地のよい家にも、純毛の洋服も、ライスカレーにも未練を残さず、孤児が収容所を飛び出すのは、そこに「真実」が見いだせなかったからである。孤児はよく「青空天国」という言葉をつかう。青空のもとに、気の合った孤児が二、三人、天真らんまんな共同生活を行なっているのは、まことに天国さながらであろう。そこには虚偽がない。むき出しの「真実」がある。孤児の心を知る者は孤児のみであろう。同じさみしさ、同じくやしさ、同じ苦しさ、同じ悲しさの中に生きてこそ、相共に同じ幸福を味わうことができる。