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さまようまちのさまよういえのさまようひとびと
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
国枝 史郎
「探偵」1931(昭和6)年7月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,916 字 · 75 页
七
青幇
(可哀そうに、どうやらこの男は、青幇、紅幇、白幇、黒幇そのどれかの連中の、ひどい圧迫を受けているらしい)と。
そのため私は奮起しました。
(よしこの青年の味方になってやろう)と。
(あいつらをこの際やっつけてやろう――俺の使命と一致するのだからな――蒋介石め! その一統め! 南京政府め! 顫え上がるなよ!)と。
で、私は云ってやりました。
「信じたまえ、ね、僕を! そうして一切を話したまえ!」
――でも矢っ張り駄目でした。
何んと驚くじゃァありませんか、繁青年は泣いているのです。
私は叱るように云ってやりました。
「男じゃァ無いか! 何を泣くんだ! ね、云いたまえ、敵は誰だ!」と。
すると青年は云いました。
「敵は、先生、青幇なのです」
「そうだろうそうだと思ったよ」
青幇とは一体何んだろう? こう貴郎は思うでしょうね。
青幇のことをお話しましょう。
いい文献が此処にあります。
私がお話しするよりも、これを読だ方が解りましょう。
お聞きなさい、読でみますから。
七
青幇
支那社会の中産階級以下に於て、最も甚だしい害毒を流しつつある二大痼疾がある。それは一を青幇といい、他を紅幇という。