轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さるすべり

さるすべり

山本 周五郎

「富士」大日本雄辯會講談社、1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,095 字 · 24 页

青空文庫

だった、そしていま、かれらはその行李を眼の前に見ているのだ。

「待て待て、荷おろしを待て」兵の群れを押しわけて、そう叫びながら治部介が前へ出てきた、「まだ荷をおろしてはいけない、おろしたものはそこへ置け、荷駄や車に付けてある分はそのままでしばらく待て」「それはどういうわけですか」勘定奉行手付の若ざむらいが走って来た。

「べつに仔細はないけれども、上からお指図のないうちに荷おろしをしてはいけないと思う、少し待つほうがよいだろう」

「仰せですが行李が着けばお指図がなくとも荷おろしだけは致すのがしきたりです」

「しきたりは定法ではない、到着したものは到着したものなんだから、そうせかせかしなくともよいだろう、とにかく少し待て」

人足たちの列はもう止っていた、あたりがにわかにひっそりとなり、そのしじまを待っていたもののように「組へ集れ」の竹法螺が鳴りだした。時ならぬ合図なのでみんな少しいろめきたった、どうしたのだ、前進か、敵か、そんなことを云い交わしながらそれぞれの部署へと走っていった。治部介は散ってゆく兵たちのあとから、いつものゆっくりした足どりで本丸へ登ってゆくと、向うからさっき廊下で会った若ざむらいが走せおりて来るのとであった、「ああ御物頭」