轻松读懂日语经典作品
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さるすべり
さるすべり
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社、1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,095 字 · 24 页
六
「味方の者だと」治部介はものみ台へ登った。たしかに、大手の広場を越えてまっすぐに走って来る者があった。どういうつもりか頭から蓆をかぶり、身を跼めてひた走りに走って来る。すると敵もそれと気づいたのであろう。急に銃口を集めて狙撃しはじめた。「ああ危ない、射たれる」兵の一人が叫んだとき、走っていた者がだっと前のめりに倒れた、みんなあっと云った、銃声はなお続き、倒れている者の近くで弾がふつふつと土埃をあげた。――やられた、もうだめだ。みんな暗然と息をのんだが、治部介はなんと思ったか銃を二十挺とって来いと命じた。
六
「いまに敵はあの死躰を取りに来る、そうしたら覘い射ちにするんだ、稽古のつもりで代りあってやれ、ゆだんすると取られるぞ」そう云って治部介がもの見台をおりる間もなく、銃を構えていた兵の一人が、「ああ生きているぞ、あれは生きているぞ」と叫びだした、「みろ動いてる、よくみろ、少しずつこっちへ這って来るぞ」「そうだ、まさに這って来る」そしてすぐ別の一人が叫んだ、「女だ、おいあれは女だぞ」御物頭と叫びながら、兵の一人がとびおりて来た、「お願いです助けに行かせて下さい、あれは生きています、しかも女のようです」