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あじさい

たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集

佐藤 春夫

佐藤春夫『たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あじさい、幽香嬰女伝、化物屋敷、緑衣の少女、私の父が狸と格闘をした話、幽明、柱時計に噛まれた話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,277 字 · 84 页

青空文庫

左記へ電報を頂けば池田や東なども誘い合せて駅へお迎えに出ます」という文句であった。

石垣はお祭騒ぎの好きな奴だが、そうどやどやと出迎えられるのは迷惑ながら、誰かに来て貰わないでは自分の新居が判らないのだから困る。由来番地によって家を捜すのは容易に成功せぬ自分だ。幾人でも来たいだけつれて来るがいい。ひとりなら待たせては気の毒だが大ぜいなら一時間や半時待たせて置くのも構わぬし、代り番に旅鞄を運んで貰うという便宜もある。石垣もそのつもりであろう。

電報で頼んで置いたとおり二時半に品川に着いてみると、石垣は同勢を四人も引きつれて出迎えていた。池田、東、浜野、それに彼等の仲間で一二度は顔を見たがまだ名前をおぼえていない男まで加わっていた。景気づけに同勢を残らず狩り出して来たものと思えた。けれども石垣の説明を聞いているうちに、彼等は石垣の勧誘を待つまでもなく皆自発的に散歩を兼ねて出迎えたものと知れて来た。石垣に宛てた一本の電報はやがて彼等一同に宛てたものと同様の効果があったのである。というのは、彼等はみな石垣と同宿、つまりは自分のがらくたと同宿であった。というよりも自分と自分の荷物とは石垣の仲間が大部分を占領しているさる素人下宿の二室に引取られたもので、二室に納め切れないもののためには、それぞれこの人々がその押入の