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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

「そ、そんな馬鹿な事はない。もしもそうとすれば、機関車は独りで疾走って行った事になる――。と、とんでもない事だ!」

そして心持顎を突出し、眼玉を大きく見開いて、一寸喬介を軽蔑する様にして見せた。が、その顔色は恐ろしく蒼褪めていた。

四

駅長も、助役と同じ様に喬介の言葉には驚いたらしく、ひどく心配そうに蒼白い顔をして、亀の子の様に大きなオーバーの中へ首や手足をすくめる様にしていたが、間もなく本屋の方へ歩いて行った。喬介は、一向平気に極めて冷淡な語調で、再び助役へ向った。

「時に、当駅に、73号と同じ形式の機関車はありませんか?」

すると助役は、一寸不機嫌そうに、

「ええ、そりゃあ、仕別線路の方には二輛程来ていますがね。……一体何ですか?」

「実地検証です。是非、一輛貸して頂きたいです。この一番線へ当時の73号と同じ方向に寄越して下さい」

で、助役はケテン顔をしながら出掛けて行った。

間もなく、2400形式のタンク機関車が、汽から激しい蒸気を洩し、喞子桿や曲柄をガチンガチン鳴らしながら、下り一番線上を西に向って私達の前までやって来た。そこで喬介の指図に従って、路面上の血の滴列の起点の上へ、恰度操縦室の降口の床の端が来る位置に機関車が止ると、喬介は、給水タンクの線路側の梯子を真中頃まで登って行って