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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

三狂人

一

赤沢医師の経営する私立脳病院は、M市の郊外に近い小高い赭土山の上にこんもりした雑木林を背景に、火葬場へ行く道路を見下すようにして立っているのだが、それはもうかなり旧式の平屋建で立っていると云うよりは、なにか大きな蜘蛛でも這いつくばったという形だった。

全く、悪いことは続けて起るとはうまいことを云ったもので、今度のような世にも兇悪無惨な惨事がもちあがる以前から、もう既に赤沢脳病院の朽ちかけた板塀の内には、まるで目に見えぬ瘴気の湧きあがるように不吉な空気が追々色を深め、虫のついた大黒柱のように家ぐるみひたむきに没落の道をたどっていたのだった。

もっとも赤沢医師の持論によると、いったい精神病者の看護というものは、もともと非常に困難な問題で、患者の多くはしばしば些細な動機やまた全く動機不明に暴行、逃走、放火などの悪性な行動に出たり、或はまた理由のない自殺を企てつまらぬ感情の行違いから食事拒否、服薬拒否等の行為に出て患者自身はむろんのこと看護者に対しても社会に対しても甚だ危険の多いものであるから、これを社会的な自由生活から隔離して充分な監護と患者自身への精神的な安静を与えるためには、どうしても一定の組織ある病院へ収容しなければならないのだが、けれどもこれも又一面から考えると、大体が精神病者