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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

「これで、大体この事件もケリがつきました。で、最後にひとつお尋ねしますが、駅長が片腕になられたのは、いつ頃の事でしたか?」

「半年程前の事です。――何でもあれは、入換作業を監督している際に、誤って機関車に喰われたのです」

「ふむ。では、その機関車の番号を、覚えておりますか?」

すると助役は、首を傾げて、一寸記憶を呼び起す様にしていたが、急にハッとなると、見る見る顔を引き歪めながら、低い、嗄がれた声で、呻く様に、

「ああ。――2400形式・73号だ!」

それから数分の後――

荒れ果てた廃港の、線路のある突堤埠頭の先端に、朝の微光を背に受けて、凝然と立竦んでいた私達の眼の前には、片腕の駅長の復讐を受けた73号を深々と呑み込んだドス黒い海が、機関車の断末魔の吐息に泡立ちながら、七色に輝く機械油を、当もなく広々と漂わしていた。

(「新青年」昭和九年一月号)