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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

にきめた東室へ道具を持ち込むと、金剛へ、早速一枚スケッチしたいから先に入浴してくれるよう云い置いて自室へとじこもってしまった事、自分はその隣りの南室で荷物の整理をしたり室内の飾付をしていた事、五時頃に東室で人の倒れるような物音を聞いて駈けつけ、そこで夫の死を発見けた事などを小さな声で呟くように答えた。

別荘番の老人戸田安吉は、事件の起きた五時頃の前後約一時間と云うものは、浴室の裏の広場で薪を割り続けていたと云い、その妻のとみは吉田町まで買出しに出ていたと答えた。

四人の陳述は割合に素直で、一見亜太郎の死となんの関係もないように思われたが、先にも述べたように、絵筆を握ったまま倒れた亜太郎の傍らに描き残された妙な一枚の写生画が、その場に居合せた洋画趣味の医師の注意を少からず惹きつけたのだ。

さて、その問題の絵と云うのは、六号の風景カンバスに、直接描法の荒いタッチで描かれた富士山の写生画であるが、カンバスの中央に大きく薄紫の富士山が、上段の夕空を背景にクッキリと聳え立ち、下段に目前五、六十米突の近景として一群の木立が一様に白緑色で塗り潰されていた。画面も小さく構図も平凡で絵としてはごくつまらない習作であるが、元来川口亜太郎は、その属している画会のひどく急進的なのに反して、亜太郎自身の画風はどちらかと云うと穏健