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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

二

事件は、俄然紛糾しはじめた。警官達は大きな壁にでもぶつかった思いで、ハタと行き詰ってしまった。しかも、問題が二つに分れて来た。死人が二人になった。そのうちの一人は、幽霊に殺され、他の一人は、死んでから、幽霊になってふらふらと人を殺しに出掛けたことになる。なんという奇怪な話だろう。

しかし、このまま踏みとどまっていることは出来ない。警官達は直ぐに気をとりなおして、再び調査にとりかかった。

まず、あとから殺された澄子のほうは、ひとまず後廻しにして、とりあえず房枝の死について調べ始めた。

――いったい房枝は、自殺したのか? それとも他殺か?

けれどもこの疑問に対しては、警察医は、縊死とは違って、自分から手拭で首を締めて死ぬなどと云うことは、仲々出来ないと云う理由で、他殺説を主張した。判検事も、警官も、大体その意見に賛成した。そして階下の店の間を陣取って、いよいよ正式の訊問が始まった。

まず、娘の君子が呼び出された。母親を失った少女は、すっかりとり乱して、しゃくりあげながら次のような陳述をした。

その晩、母の房枝は、君子に店番を命ずると、澄子を連れて表二階へあがって行った。