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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页
れもせぬ最大の、何んと言いますか……記録保持者? として、H機関庫に前科者の覇権を握っていると言う、なかなかやかましい代物です。
ところでここにもうひとつ妙な事には、この因果なテンダー機関車にまことに運が悪いと言いますか、宿命とでも言うのですか、十年近くもの永い歳月に亙って、機関車が事故を起す度毎に、運転乗務員として必ず乗込んでいた二人の気の毒な男があったんです。
一人は機関手で長田泉三と言いましてな、N鉄道局教習所の古い卒業生で、当時年齢三十七歳、鼻の下の贋物のチョビ髭を取ってしまえば何処となく菊五郎張りの、デップリした歳よりはずっと若く見える大男で、機関庫の人々の間ではもろに「オサ泉」で通用っていました。で、後の一人は、機関助手の杉本福太郎と言うまだ三十に手の届かぬ小男でして、色が生白く体が痩せていて、いつも鼻の下にまるで「オサ泉」の髭の様に、煤をコビリ着かせている奴なんです。
二人共呑気屋で、お人好で、酒など飲んだ後などはただわけもなく女共に挑み掛っては躁ぎ廻る程の男なんですが、それでもD50・444号の無気味な経歴に対しては少からず敬遠――とでも言いますか、内心よんどころない恐怖を抱いていたんです。