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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

いったいどうしたと云うのだろう。

「田部井さん。足跡は、裏の窓口からですよ」

「あああれですか」と田部井氏は振返って、

「あれはもう、用はありませんよ。私は、もう一つの条痕を探してるんです」

「もう一つの条痕ですって?」

思わず私は、そう訊き返した。

「そうですとも」田部井氏は笑いながら、「窓の外には一人分の跡があっただけでしょう。ね、あれでは往復したことになりませんよ。あそこからサンタ・クロースが出て行ったのなら、もう一つ入った跡がなければなりませんし、あそこから入ったのなら、出た跡があるわけですよ」とそれから、浅見家の屋根のほうを見上げてニヤッと笑いながら、「いくらサンタ・クロースだって、まさかあの細い煙突から、はいったなんてことはないでしょう……こいつは、ただのお伽噺ではないんですからね」

成る程、何処かから入って来た跡がなければならない筈だ。私は自分の迂濶さに気づいて、思わず顔がほてって来た。が、この時私は、ふと電光のように、或る思いつきが浮んで来た。

「ああ田部井さん。判りましたよ。……八時前には、雪が降っていたでしょう。それで、サンタ・クロースは八時前にここへ入って、八時過ぎて雪が止んでから、出て行ったのでしょう。