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みごとなおんな

みごとな女

森本 薫

「劇作」1934(昭和9)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,668 字 · 34 页

青空文庫

あさ子 時々、あたしね、お友達のことなんか、考えてみるのよ。野田さんやなんか、どうしてるかしらん、なんて。

真紀 お嫁入りなすった方かい。

あさ子 医学部の研究室にいるひとよ。

真紀 ――。

あさ子 あたしもしばらく、あそこにいたわね。あたしが家へ帰ることにきまったので、代りにあのひとが行ったのよ。

真紀 あなたは、今でもやっぱり、あの、理化学研究所に入らなかったことを、何とか思ってるんじゃない?

あさ子 ――。

真紀 そりゃ、惜しいには惜しいだろうけど、先生方もあんな風に言って下すったのだし。

あさ子 (笑って)母さん、あたしもう何とも思ってやしない、それなら。

真紀 そう、そんならいいけど。

間。

あさ子 此の間、慥えた人形ね。収さんが持って帰ったのよ。あれが一等出来が悪いんだのに。

真紀 どうして、そんなのを持って帰るのだい、あの人。

あさ子 しらないわ。変な恰好してるのよ、そりゃ。他のと取り換えるからって言うのに、これでなくちゃ厭だってきかないの。

真紀 変梃な所はあなたの感じが出てるんだろう、きっと。

あさ子 ひどいわ、母さん。

真紀 あれで、いろんなことをやってみるらしいね。