轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めおとちょう

めおと蝶

山本 周五郎

「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页

青空文庫

ない、……それでは堪らない、夫婦であるからには、お互に心の底までわかりあいたい、それには二人の密接な時間が必要だ。ことに私はこんな性質だから、自分で納得のゆくまでは安心ができない、……底の底からおまえを知り、身も心も私の妻にしたかった、それで子供もおまえから離したのだ」

信乃は眼を伏せたまま黙っていた。ずいぶん利己主義だと思った。母親から子をひき離してまで、妻を自分にひきつけて置いて、かたちだけ密接であれば気持もそれに応ずるというのだろうか、自分がそれで納得できれば、離されている子供や母親はどうでもいいのだろうか。夫婦は子供を通じてはじめて、密接につながれるものではないだろうか。こう思いながら、だが信乃はなにも云わなかった。

「おまえは私に不満かもしれない、私は小身者の出だ、ずいぶん苦しく貧しいなかで育った、日常のことでも、おまえの眼には軽侮したいようなぶざまなことが多いだろう、それはよく知っている」

「――――」信乃はびっくりして眼をあげた。

「しかし私はこのままではいない、ここまでこぎつけるためにはすべてを棄てなければならなかった、なにもかも、……人らしいところまで出世をするために、……そうしてその時が来た、これからはいくらかおちつくことができる、少しはそのほうの修業もして、おまえにも軽侮されないくらいの