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ものおもうあし

もの思う葦

太宰 治

――当りまえのことを当りまえに語る。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,430 字 · 42 页

青空文庫

わが儘という事

百花撩乱主義

(ないかも知れぬ。)

追記。文芸冊子「非望」第六号所載、出方名英光の「空吹く風」は、見どころある作品なり。その文章駆使に当って、いま一そう、ひそかに厳酷なるところあったなら、さらに申し分なかったろうものを。

わが儘という事

文学のためにわがままをするというのは、いいことだ。社会的には二十円三十円のわがまま、それをさえできず、いま更なんの文学ぞや。

百花撩乱主義

福本和夫、大震災、首相暗殺、そのほか滅茶滅茶のこと、数千。私は、少年期、青年期に、いわば「見るべからざるもの。」をのみ、この眼で見て、この耳で聞いてしまった。二十七八歳を限度として、それよりわかい青年、すべて、口にいわれぬ、人知れない苦しみをなめているのだ。この身をどこに置くべきか。それさえ自分にわかっておらぬ。

ここに越ゆべからざる太い、まっ黒な線がある。ジェネレーションが、舞台が、少しずつ廻っている。彼我相通ぜぬ厳粛な悲しみ、否、嗚咽さえ、私には感じられるのだ。われらは永い旅をした。せっぱつまり、旅の仮寝の枕元の一輪を、日本浪曼派と名づけてみた。この一すじ。竹林の七賢人も藪から出て来て、あやうく餓死をのがれん有様、佳き哉、自ら称していう。