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ものおもうあし

もの思う葦

太宰 治

――当りまえのことを当りまえに語る。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,430 字 · 42 页

青空文庫

気がかりということに就いて

宿題

」

気がかりということに就いて

気がかりということに、黒白の二種、たしかにあることを知る。なにわぶしの語句、「あした待たるる宝船。」と、プウシキンの詩句、「あたしは、あした殺される。」とは、心のときめきに於いては同じようにも思われるだろうが、熟慮半日、確然と、黒白の如く分離し在るを知れり。

宿題

「チェック・チャックに就いて。」「策略ということについて。」「言葉の絶対性ということについて。」「沈黙は金なりということに就いて。」「野性と暴力について。」「ダンディスム小論。」「ぜいたくに就いて。」「出世について。」「羨望について。」「原始のセンチメンタリティということについて。」そのほか、甚だけちのようなれども、題名を言われぬもの、十七八項目くらい。少しずつノオトに書きしるしていっているのであるが、いま、「文芸雑誌。」創刊号になにか書くことをすすめられ、何を書こうかと、ノオトを二冊も三冊も出してあちらを覗き、こちらを覗きして、夕暮より、朝までかかった。どれもこれも、胸にひっからまり、工合いよくゆかぬ。牛乳を飲んで、朝の新聞を読んでいるうちに、わかった。

私の心は千里はなれた磯にいて、浪にくるくる舞い狂っていたのである。