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わがせいしんのしゅうい
わが精神の周囲
「群像 第四巻第一〇号」1949(昭和24)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,670 字 · 32 页
この一事を見ても、相当に催眠薬の中毒があったことはマチガイない。
伊東へつく。一行は直ちに尾崎士郎を訪ねて酒をのむ。私は酔っ払って、音無川へ水浴に行った。尾崎士郎を訪ねた時の酔余のよろこびはこれである。音無川で水浴したのも私が最初。裏の畑の野天風呂で晩秋に夕陽をあびて一風呂あびたのも私がはじまりだ。
私がたのしみにしていた胸までの深さのところは、水底の変化で、ようやく膝を没する程度の深さでしかなくなっていた。しかし、この水の冷めたさは、冷水浴になれた私に、最上の適度であった。冷めたすぎず、また、ぬるくもない。
しかし、私は目当の場所を往復するのに、何回ひっくりかえったか分らない。川底はタクアン石大の石で敷きつめられているから、足を踏みすべらしてしまうのである。それから三日あと、よほど催眠剤がきれたようですね、と高橋が云った日に又水浴にでむいた時には、なるほど、もはや転がらなかった。
第一日目と第二日目の記憶がモウロウとしている。第二日目は、早朝に長畑さんが手術のために東京へ戻り、私たちは南雲さんの案内で、一碧湖へ遊びに行った。私はこゝでも水浴をやったが、湖底が泥土で足クビまでめりこみ、おまけに水のなまぬるさ、湖水などとは思われない。