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エスキモーのくにから
エスキモーの国から
中谷 宇吉郎
「文藝春秋」文藝春秋新社、1959(昭和34)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 12,797 字 · 26 页
しかし地上へ回収するときは、超高速度で大気内へ突入するので、流星と同じように高熱になって燃えてしまう。それで生物を入れた人工衛星の回収は、非常にむつかしい問題である。しかしそれも現在では解決されている。
ところで今度の二十日鼠の実験は、人工衛星自身の失敗で、不成功に終った。もし無事に生きたまま地上へ回収されたら、つぎはいよいよ人間を載せた人工衛星という段階になりそうであった。
しかし此処で一つ大きい問題があることを忘れてはならない。それは現在の人工衛星打ち揚げ装置、すなわちロケットは、恐ろしく非能率的、したがって、非経済的なものであるという点である。
二十日鼠というのは、一番小さい鼠で、四匹としても、手のひらに乗るくらいのものである。ところがそれを打ち出したロケットは、恐ろしく大きいもので、全重量は五十四トンあった。五十四トンもの重量のものを打ち揚げ、大部分は燃料であるが、それを燃しつくした揚句、ごく小さい人工衛星をつくり、その中に二十日鼠を四匹入れられるというのであるから、まるで話にならない。大砲で南京玉を打ち出すようなものである。
人間を乗せられる人工衛星となったら、それこそたいへんなもので、小さい駆逐艦くらいのものを打ち出さなければならない。