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カフェー

カフェー

勝本 清一郎

「共同通信社配信 第32〜33回」共同通信社、1964(昭和39)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,355 字 · 7 页

青空文庫

とかある。クリケットという遊びは私の小学生時代、慶応義塾幼稚舎ではまだ行なわれていた。

可否茶館の開業にさいしては「可否茶館広告、附、世界茶館事情」というパンフレットが配布された。それによると、パリのカフェーの元祖はサンゼルマン街にアルメニア人パスカルの開業したもので、一七八五年版ジュラウルの「巴里名所記」にそのことが出ているよしである。

なお茶館という名称からもわかるとおり、中国茶館の系統も引いている。主人は長崎生まれの鄭永慶という人で、石橋思案も長崎生まれだったことから硯友社の面々が後援した。思案はこの可否茶館を会場にして東京金蘭会と称する男女交際会の会合をしばしば催した。その会では当時の帝大生たちが流行の清楽合奏などしたが、主宰者の思案もまだ二十歳代の学生だった。

可否茶館は二階建ての洋館で庭も二百坪ほどあった。二階の席料が一人一銭五厘、階下は広間で無料。コーヒーのねだんは牛乳を入れないのが一杯一銭五厘、入れたのが二銭、菓子付きで三銭。酒類はベルモット二銭五厘、ブランディー三銭、ぶどう酒二銭七厘、ビールがストックビール小びん十五銭。たばこは鹿印二十本二銭……。