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キリストきょうにゅうもん
キリスト教入門
矢内原 忠雄
序「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>門をたたけ「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第一章 人生と宗教「嘉信第十四巻第八・第九号」嘉信社、1951(昭和26)年8・9月<br>キリスト教入門第二章 いかにしてキリスト教を学ぶか「嘉信第十四巻第十・第十一号」嘉信社、1951(昭和26)年10・11月<br>キリスト教入門第三章 キリスト教の歴史「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第四章 キリスト教の神観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第五章 キリスト教の人間観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第六章 キリスト教の救済観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第七章 基督者の生涯「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教早わかり「嘉信第九巻第六・第七・第八号」嘉信社、1946(昭和21)年6、7、8月<br>無教会早わかり「嘉信第十巻第四号」嘉信社、1947(昭和22)年4月<br>聖書について「嘉信第十巻第七号」嘉信社、1947(昭和22)年7月<br>イエスの生涯「キリストの生涯」郵政省、1949(昭和24)年2月<br>あとがき「キリストの生涯」郵政省、1949(昭和24)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,257 字 · 234 页
されど我が意にあらずして、御意の成らんことを願う」と祈った。イエスはかく祈りつつ悲しみ迫り、いよいよ切に祈れば、汗は地上に落つる血のしずくのごとくであった。祈りを終え、起ちて弟子たちの処に来て見れば、皆憂いによって眠っていた。イエスは彼らにむかい、「何ぞ眠るか、起ちて誘惑に入らぬやうに祈れ」と言った。
「この酒杯を我より取り去りたまえ」とは、この苦痛をのがれさせ給えとの意味である。敵に捕えられて恥辱の死につく運命をまぬがれしめ給え、とのことである。しかしこの苦痛の酒杯を飲みほすことが神の意思であるならば、その神の意思に己の意思を一致せしめることをイエスは願ったのである。
イエスがこのように死と対決して苦しんだのは、単に肉体の死の苦痛のゆえではない。神の愛しみ給う子たる自覚をもって世に遣わされた者が、十字架の上に恥辱の死を遂げるということは矛盾ではないか。これがキリストたる者の生涯であろうか。イエスは公の生涯に入る端初、荒野に四十日四十夜飢えて、おのが神の子たる自覚をきびしく試練されたように、今や最後の時が迫って、再び己がキリストたるの自覚をきびしく吟味せざるをえなかったのである。