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トシオのみたもの

トシオの見たもの

岡本 かの子

「朝日新聞」1921(大正10)年4月21日~30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,531 字 · 21 页

青空文庫

そしてその小鳥達は、見る見るうちに、四つの方角を差して、めいめいの首を向けて仕舞いました。

先ず、白い小鳥の首は空の白雲へ、黒い小鳥の首は地の黒土に、また、青い海へは、青い小鳥の首が、赤い小鳥は真赤な太陽へ向いて真直ぐに、どれも、しっかり、うちつけた様に向いて仕舞いました。

「おお、この世の中は、やっぱり私の羽根の様に、真赤な色であったのか」

と、赤い小鳥は太陽を眺めて、嬉し相にさえずりました。

すると、海に向いた青い小鳥は、

「いいえ、この世の中は、私の様な青い色です」

と得意相に云いました。ところがこんど、白雲ばかり仰いで居る白い小鳥が、

「どちらもそれは違います。まったく、この世の中は、白いのです」

と、さきの二つの小鳥の言葉を打ち消しました。

と、最後に、黒い土のみ見詰めて居た黒い小鳥が、すべての小鳥の言葉をつきのけて、

「どうして、どうして世の中は私の様に、真っ黒ですぞ」

と叫びました。

「いいや、赤い」

「なに、黒いのだ」

「白いものとも」

「青いばかりだ」

と、後ろ向き同志の四羽の小鳥たちの始めた、この争いは、果しもありません。すると、その時まで、じっとこのありさまを、傍で見て居らしった神様が、